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ユニリーバ・ジャパン 取締役人事総務本部長島田 由香氏

ユニリーバ・ジャパン 取締役人事総務本部長島田 由香氏

「心配」ではなく「信頼」で働き方を変えていく。

働き方改革の先駆者であるユニリーバ・ジャパンが作った新人事制度「WAA」(Work from Anywhere and Anytime)。働く場所と時間を社員が自由に選べる制度を導入した背景や結果を取締役人事総務本部長の島田由香氏にお伺いしました。

<プロフィール>
島田 由香氏
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役 人事総務本部長
1996年慶応義塾大学卒業後、株式会社パソナ入社。
2002年米国ニューヨーク州コロンビア大学大学院にて組織心理学修士取得、日本GE(ゼネラル・エレクトリック)にて人事マネージャーを経験。
2008年ユニリーバ入社後、R&D、マーケティング、営業部門のHRパートナー、リーダーシップ開発マネジャー、HRダイレクターを経て2013年4月取締役人事本部長就任。その後2014年4月取締役人事総務本部長就任、現在に至る。
学生時代からモチベーションに関心を持ち、キャリアは一貫して人・組織にかかわる。中学2年生の息子を持つ一児の母親。米国NLP協会マスタープラクティショナー、マインドフルネスNLP®トレーナー。

WAAを作るキッカケは何だったのでしょうか?

2014年7月。新しい社長が着任した時に日本の社員の働き方を見て「どうしてみんな帰らないの?」「家族とはいつ過ごすの?」と素朴な質問をされました。
私もずっと「今の働き方おかしいな。結果さえ出せば、どこで働いてもいいのに。」と思っていました。社長の質問をキッカケに「よし、本格的にやろう!」と決め、役員メンバーで話をすすめ、今注目いただいている新しい人事制度(WAA Work from Anywhere and Anytime)が出来上がったのです。7月に決めて、11月には全社員にアナウンス、12月からパイロット実施へと動きました。着任からわずか4か月の間にビジョンと制度の構想を社員にアナウンスできた背景にあるのは。やはりトップのコミットメント。リーダーの在り方というのはやはり大きいと実感しています。

WAAは非常に覚えやすくユニークなネーミングに込めた想い

私は「言葉は力を与える」と考えていますので、ネーミングをいつもとても大事にしています。働き方は日本全体の問題。私たちの会社だけでなく、ワーっと他の会社にも広がっていってほしい、という想いを込めて名付けました。実はもう一つ意味があります。私たちはうれしい驚きがあるとき、「わー」って言ってしまいますよね。この働き方でうれしい驚きを見つけ、より幸せになってほしいという願いも詰まっています。

WAA導入のメリット、デメリットを教えてください

2016年7月のスタートから約10ヶ月やってみて、特にデメリットはありません。
働き方が変わっても売上も利益も目標通り上がっていますし、労働時間も減少。残業時間は平均して約10%―15%減りました。

さらに嬉しいことに、「働き方を変えて毎日にポジティブな変化があるか?」という質問に対して、68%がyesと答えたのです。さらに生産性は30%上昇しています。生産性をどう計るのかは、多くの人が悩んでいることだと思いますが、いろいろ考えて私は本人の感覚値でいい、と思っています。
「導入前に生産性を50としたとき、導入後の今の生産性はいくつ??」という質問に対する回答の平均値が65になっています。72%の人が51以上の数字を入れています。つまり「生産性が上がっている」と感じているということです。この一人ひとりがそう感じているということが大事だと思っています。

生産性が個人レベルで上がる理由とは?

自分がどのような働き方をしたら一番生産性があがるかは、本人が一番良く知っていると確信しています。会社ができることは、自分でその環境をセットできるように選択肢を提供することです。自分で選べる安心感や任せられる信頼感で社員は自分の力をさらに発揮してくれます。
心配して枠組みを作るのではなく、信頼して任せるということが何よりも重要だと思っています。「しんぱい」と「しんらい」。「ぱ」と「ら」の違いは本当に大きいです。「しんぱい」から「しんらい」へ、の話をしたとき「これが本当のパラダイムシフトだね」とある方に言われました。
上司を含む大切なステークホルダーと対話をしていれば、数字がなくても会社から期待されていることはわかります。定量的なものはわかりやすいですが、先ほどのような感覚的に生産性が上がったという結果も成果だと思っています。

今後はどんな展開を考えていますか?

主に3つあります。
まず、WAAの地方への展開です。本当にどこででも働いて同じかそれ以上の結果をだせる仕組みを作っていきたい。
そして、他社も巻き込んでWAAの考え方を広めていくことです。すでにWAAのスピリットに共感する人たちで作っているTeam WAA!は400人を超えるのコミュニティになりました。WAAの考え方に共感し、いいな、と思ったらもう仲間です。このコミュニティからも新しいコラボを生み出していきたいと思っています。最後は、定年の廃止、所定労働時間を毎月ではなくて労働時間を年間で管理するやり方や極端な話所定労働時間とい概念自体をなくしていくアイディアを模索していきたいと思っています。

Tristへの期待はありますか?

Tristの教育プログラムは非常に重要なプラットフォームだと思っています。どんどん広がると良いですよね。物理的な環境が整っていない地方において「どうせここで頑張っても職がない」と思って諦めている人たちは多いと思っています。地方でTristプログラムを導入し、優秀な人材を増やし、仕事を都内から持ってくることができれば、それこそ「いつでもどこでも」仕事ができる環境WAAが目指しているものと同じです。何かコラボできたらいいですね!