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NECコーポレートコミュニケーション部エグゼクティブエキスパート藤井浩美氏

NECコーポレートコミュニケーション部エグゼクティブエキスパート藤井浩美氏

ワーキングマザーをしながらMBAを取得された藤井さん。仕事一筋のバリキャリ女性をイメージしてしまいますが、「人生は先の見えない長期戦。遠回りしてもいいじゃない」とご自分のペースで前に進んでいる、かわいらしさと優しさと強さを持つ方です。
今回は「充実した人生を送るための学び」についてお話をお伺いしました。

<プロフィール>
NEC
コーポレートコミュニケーション部
エグゼクティブエキスパート
藤井浩美さん
音声認識技術の研究開発、ユニバーサルデザイン、ブランドマネジメントの推進等に携わり、現在は、経営企画機能に位置づけられるコーポレートコミュニケーション部で社会貢献活動を担当している。

自分の価値も仕事も環境も自分で作っていく。

元々、家庭も仕事も楽しみたく、わき目も振らずに出世を目指すタイプではなかったと思います。良い仕事をするため精一杯努力しようとは思っていましたが、一方で遠回りしてもいいや、とも思っていました。キャリアが遅れることを気にするよりは、今ある環境の中で自分が成長できて、充実して生きていくにはどうしたらよいか、を大切に考えていましたね。

大学卒業してすぐに結婚したので、入社した時から同期と同じように残業したり、がむしゃらに働く、ということができなかったので、自然とそういう考えに至ったのだと思います。ただ、周囲と同じ時間をかけて仕事ができない中でどうやってサバイブしていくか?を考えた結果、企画力やアイディアで勝負していきたいと思いました。人の1.5倍の時間働くのではなく、「常に他の人にはないアイディアを出そう」「違う視点で提案してみよう」と社内の論文コンクールなど色々チャレンジしてきました。

研究所の所長から「自分の仕事は自分でつくる」ということの大切さを教えてもらいました。自分でやりたい仕事を作ることが一番能力を発揮するし、足りなくても努力する度合いが強いです。
私は、研究職で入社しましたが、仕事を色々していく中でマーケティングやデザインにも興味を持ったので、それらの分野の部署に自ら異動させてもらい経験を積みました。行動していくモチベーションがあれば、環境や制度にも働きかけができます。もちろん、与えられた仕事もちゃんと価値を出して合格点を取りながら、が大切ですが。
それから、37歳で子どもを産んだ時はマネージャーでした。いろいろな経験をしたいと考え、時短にチャレンジしてみたいと思いました。しかし、マネージャーは裁量労働制なので当時の勤務体系では制度が使えませんでした。「それだったら、マネージャーの時短制度を一緒に作りましょう」と、時短を使っている人に相談したり、周囲の協力を得ることで時短制度を使わせていただくことができました。「与えられたことをする」というパラダイムの中にいると気が付きませんが、自分で働きかけることで状況を変えていけることを知ると楽しいです。

日常の全てを学びにするためには主体性が大切。

色々なことを経験したほうが充実した人生が送れると考えていたので、PTAや子供と一緒にボーイスカウトの活動もやっていました。活動の中で名簿や手順書を作ったり、出欠管理、緊急対応などの作業は企業で培った力が役に立った時もありましたし、逆に企業に戻ってからもこの時の多様な人たちとのコミュニケーションの経験が役に立ちました。
地域の活動と仕事を相互にリンクさせシナジーを得るには「自ら主体的に活動する」ことが大切だと思っています。受け身で活動しても、結局会社に戻っても与えられた仕事をすることしかできません。逆もそうです。
日常生活からちょっとした楽しくなる工夫やよりよくするにはどうしたらいいのかを主体的に考えていくことが提案力につながります。

他にも地域活動で得るものはたくさんあります。ボーイスカウトで自分の子以外の子と関わる経験をして「みんな違う」ということを知りました。自分の子ばかり見ていると「できていないこと」ばっかり見えてしまっていましたが、「うちの子はここが良いな」と自然と思えるようになったのです。視野が広がり、視点が増えたことで人生のストレスが減り、母親と仕事人の両方の立場を楽しむことができたと感じています。

日常が全て学びだし、ネタ探し。
私は子育てや地域活動を行う中で、企画力、提案力、段取り力、さらにタイムマネジメント、リーダーシップも上手になったと感じています。
リーダーシップという言葉に戸惑う方もいらっしゃいますが、いろんな形のリーダーシップの形がありますよね。強く引っ張るリーダーシップもあれば、「どうしたらいいと思う?」と聞くことで、メンバーの創造力を育てながら前に進む方法もあります。
自分なりにできる「小さなリーダーシップ」で成功体験を積み重ねるのが良いと思います。はじめは小さいことでもいいです。待たずにあえて、自分からアプローチしてみてください。主体的に動くことの価値や自分の力で人生を切り開いていけることに気が付くことができます。

0か1ではもったいない。何が起こるかわからない時代だから、引き出しはたくさん持っておきたい

働いて子育てしながらMBAを受講していたことがあります。1週間に8時間程度の勉強時間と想定していたのですが、実際はもっともっと勉強しないと課題を提出できませんでした。夜10時に子どもと一緒に寝て、4時に起きて勉強、通勤中、お昼休みも勉強、土日は一日中勉強していました。実は途中、家庭の危機に直面したこともありましたし、当時の上司から「そんな時間があったら仕事してほしい。」と冗談っぽく笑って言われたこともありましたね。仕事と家庭と勉強の日々はかなり厳しく、「とてもじゃないけど、できない」と一度立ち止まって考え、諦めることを家族に伝えたことがあります。その時、「せっかくここまで頑張ったから卒業したら?」と夫の方から言ってくれ、諦めずに続けようと。
それから、一度やるべきことを全て書き出して、優先順位をつけました。そして、「MBA合格したい。各科目、合格点は70点。では70点をパスするための勉強をしよう」と決めたのです。ちゃんと理解もしたいし、じっくり勉強もしたいと思いました。でも、自分で子育てしながらやると決めたので、その制約の中で70点を取る勉強に切り替えました。

0か1かで自分の可能性を捨ててしまうのはもったいないです。
100点でなくても、自分が精一杯やったことであれば、自分の成長につながっていると考え、可能性を残していく、ということです。
自分の人生で「自分はこれ」って決めることによって、他の人生を捨てるのはもったいないと思います。これだけ世の中が不確定で何が幸せかもわからない時代なので、将来のためにも手持ちの引き出しはいっぱい持っていた方がいいと思います。

<Tristに共感される方へのメッセージ>

キャリアアップというと、バリバリ働いて実績を出す、というイメージがあるかもしれませんが、意義のある仕事を自分らしくやっていくということが大切ではないでしょうか。
わき目も振らずに走る人生だと、失敗などですぐ心が折れてしまいます。時には立ち止まり、また遠回りもしながら、自分にとって、会社にとって、社会にとっての意義を確認しながら実績を重ねていくことがキャリアアップになっていくと思います。
「人生なんて予定通りいかない長期戦。予想外のことが起きるのは仕方ない。」と思って、うまく行かない時は他の分野を開拓したり、充電の時間を楽しんだりして、心が折れないマインドセットを育てながら充実した人生を歩んでください。