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Tristマッチングメーカー就任。金子孝行さんインタビュー「いつも若い方から学ばせてもらってる。」

(文:渡部直子)

流山本町活性化の立て役者

昭和54年に流山市役所に入所され37年間勤め上げた金子孝行さん。

「税や福祉にも携わってきましたが、商業と観光が一番長く携わりましたね」と金子さんは目を細める。

金子さんは「流山市役所商工振興課流山本町・利根運河ツーリズム推進室」の初代室長を務めた方で、当時の流山市は観光といってもなかなかイメージができない状況だったという。

しかし、実は歴史も深く豊かな自然に恵まれた流山市。観光に活かせる潜在価値は沢山あると確信し、まずは知名度の向上とまちの活性化を目指して仕事に取り組んだという。

観光の一つの目玉として注目した場所が流山市の中でも特に歴史がある流山本町。補助金制度をつくり本町にある古民家を再生し、そこに店舗を誘致するという一大プロジェクトが始まった。

金子さんは、まずは所有者に古民家を貸してもらうため昼夜問わずプロジェクトの説明に出向き理解を求めた。

なんとか信用を得て古民家を貸してもらえることが決まった後は、店舗の誘致に走る。当時の流山はすぐに集客を期待できる町ではなかったため、お店としても出店に対して慎重にならざるを得ず苦戦したようだ。近隣市や県内、県外にも足を運んで誘致に奔走したという。

常にあったのは「まずは一店舗目をスタートさせなくては、一店舗目を成功させなくては、という使命感」

まずは一店舗目をスタートさせて成功させるため、できることは可能な限り自分たちの手でやろうと思った金子さん。

出店者が決定してからは、古民家や蔵の掃除なども行い、瓦礫を運び出すために2トントラックで20回以上も往復したという。

最初に決まった店舗は流山が誇る大人気レストラン「丁字屋」さん。

流山本町にあるレストラン「丁字屋」

そして「灯環(とわ)」さん、「流山あかり館」さんと、今では流山を代表する人気店の出店が決まった。

流山本町の蔵を改装した素敵なカフェ「灯環(とわ)」
和紙を使ったあかりや可愛い雑貨が並ぶ「あかり館@雑貨konocono」

出店が決定した後もオープンまでは毎日新たな問題がでてきたが、決心してくれた貸し主、借り主のためにも立ち止まるわけにはいかない。落ち込んでいる暇はなかったそうだ。

店舗がスタートした後も心配はつきない。常にお客さんが入っているかが気になり、なかなか集客できない時期などはオーナーと何度も話し合いを重ねることも。側面的な支援しかできないことをもどかしく思ったこともあったという。

「今思えば全てが奇跡的な出会いでした。不動産の知識もなく店舗経営などの知識もないド素人なので、手探り状態でのスタートでした。最初はやりがいというよりも使命感が強かった。しかし、人と関わっていくうちに使命感だけでなく、この魅力溢れる流山本町にかつての賑わいを取り戻したいという気持ちが強くなっていきました」と金子さんは振り返る。

女性向け創業スクール立ち上げの発案者

そんな流山本町活性化の立て役者になった金子さんは、6年前から流山市で開催されている女性向け創業スクールの発案者でもある。

第一回女性向け創業スクールの様子(2015年)

創業スクールを立ち上げたのは、若い世代の転入が増えてまちが活性化している時期。

「若い世代の転入者に流山市で創業の勉強をして頂き、将来ぜひとも流山で創業して頂きたい。流山市を活力溢れるまちにするため力になってもらえたら、と考えました」と金子さんは言う。

「出産して休んでいる間に今後の働き方を考える人もいるかもしれない。女性の場合は想いがあっても環境が追いつかず、なかなか踏み切れない人も沢山いるだろう。優秀な人材がいるのに活かさなかったらもったいない」との思いから女性に目を向けた金子さん。少しでも参加しやすいように小さな子どもを連れて受講できるスクールにしたという。

Tristの代表を務める尾崎氏に講師をお願いした理由の一つは、事業企画運営において男性の私では女性の悩みを全て理解することはできないだろうという思いから。

どこまでも思慮深く、謙虚な金子さんから学ぶことは数知れない。

Tristのマッチングメーカーとして

「刺激をもらうことが大好きで、人の話を聞くことが楽しい。いつも若い方から学ばせてもらい、みなさんの頑張りを心の底から尊敬しています」という金子さん。

そんな金子さんが、Tristで毎月1度創業スクール卒業生の交流会に参加してくださることになった。

私たちにとって、そして創業スクール卒業生にとってこんなに心強いことはない。

私も尾崎氏が講師を務める女性向け創業スクールの卒業生だが、金子さんの存在にどれだけ救われただろう。

卒業後も常に気にかけ、声をかけてくれる。事業で悩んでいることを話すと「こんな人がいるよ」「ここに話してみたら?」と笑顔で相談にのってくれる金子さん。

私を含め、卒業生の多くが「金子さんがいたから今の私がある」と言う。

金子さんは心や縁を繋いでくれるマッチングメーカーだ。

Tristは金子さんのように常にワクワクしながらチャレンジし続け、誰かのTake Offをサポートできる存在でありたい。