Trist

自分の運命は自分でコントロールしたい

大連外国語大学一年生の時から日本語を専攻し、交換留学制度を利用して来日された祁佳(きか)さん。日本企業に10年勤めた後2019年7月に独立された祁佳さんにお話を伺いました。

両親を説得し、来日

好奇心が強く、世界を見たいと強く思っていたと話す祁佳さん。大学で専攻している日本語をさらに学び活かしたい、そして自立して生活する姿を両親に見せて安心させたいという思いから、日本留学を決意しました。

両親に留学について相談した時は、一人娘を心配するあまり、すぐに賛成はしてもらえなかったと言います。

「母の心配の気持ちは分かるけれども、世界を見てみたいという強い意志がありました。何とか説得しました」

と祁佳さんは話します。

何とか両親を説得して留学してからは、大学で学びながらも学童保育の先生、花屋さん、居酒屋やファーストフード店のスタッフ、中国語教師など、様々な社会経験を積まれたようです。

「中国と日本の文化の違いはもちろん沢山あり、戸惑いも大きかったです。でも戸惑い以上に、日本で出会った人の温かさに触れ、沢山の人に支えてもらい日本が大好きになりました。」

留学当初を笑顔で振り返る祁佳さんは、その後日本で就職することを決意します。

中国にいるお母さんに来日してもらい、普段自分がどのような人たちとどのように関わっていて、どのような毎日を送っているのか、ありのままの生活を見てもらったと言います。

お母さんは祁佳さんの暮らしぶりを見て安心して帰国されたようです。

自分の運命は自分でコントロールしたい。自分の仕事は自分でつくる。

その後祁佳さんは総合物流会社に就職し、10年間にわたり営業、マーケティング、オペレーション実務、通訳職を経験されました。

10年の間に結婚、出産というライフイベントを経て幸せを感じる一方で、仕事、育児、家事の両立に悩まれたと言います。

職場の方は理解があり、温かく応援してくれたようですが、職場の人が優しければ優しいほど両立できない自分を責めてしまったそうです。

大きな仕事をもらいたい、挑戦したい。

しかし、育児や家事の大部分を担当している祁佳さんにとっては、現実的にどうしても厳しい部分がありました。

多忙な旦那さんを責めたいわけじゃない。でも、どうして私ばかり大事なミーティングや出張を断らなくてはならないのだろう。男性も女性も、仕事の重さは同じはずなのに・・・。

好奇心や向上心が人一倍強いからこそ、大きなジレンマに苦しみます。

その後、第二子を妊娠した祁佳さん。出産後に復帰した部署はとても忙しい部署でした。

また、二人目のお子さんは重度のアレルギーがあり、家庭との両立はさらに大変なものになっていったようです。

「朝4時に起きて仕事に関係する冊子を読み、行きと帰りの電車の中では仕事に関わる資格の勉強、昼休みも食事を済んだ後はすぐに仕事に取り組みました。」

祁佳さんは振り返ります。

そんな毎日を送っていたある日、子どもたちの遊ぶ様子を見ていると、ふいにお子さんが顔を覗き込んでこう尋ねたそうです。

「ママ、どうしたの?とても悲しそうな顔をしているよ。」

その時、祁佳さんは退職を決意したと言います。

「楽しく仕事がしたい。自分の運命は自分でコントロールしたい。私の仕事は私がつくる。もう、子どもに心配をかけるような顔はしたくない。笑顔で子どもと遊び、子どもの笑顔を沢山見たい。」

それでも、まだ分からないことが多い日本で初めての社会人生活を送る中、「もう頑張れない」と思った時には「大丈夫、大丈夫」と支えてくれた社長や先輩、同僚、後輩たち。
沢山のチャンスをくれたみんなを思い出すと、退職はとても勇気のいる大きな決断だったと言います。

「10年同じ会社で働き続けられた理由は、恩返しです。」

そう祁佳さんは振り返ります。

Tristで見たポスターを見て「これは私だ」と泣いた

自宅近くのシェアオフィスを調べている時に検索結果に出てきたTrist。

祁佳さんがTristに初めて訪れたのは2019年のことでした。

Tristに飾ってあった尾崎さんのポスターを見て「これは自分だ。同じ思いを持っている人がいるのか。もしかしたらみんな同じなのかもしれない。」と涙が出てきたと当時を振り返ります。

それからすぐの2019年7月に開業し、2021年6月に法人化された祁佳さん。

開業して心境は変わりましたか?と聞くと、

「楽しいです!」

と笑顔で即答する姿が印象的でした。

「細かいところまで子どもの成長を見ることができるし、仕事も働いた分がちゃんと自分に返ってくる。充実感があります。」

柔らかく、力強い言葉が返ってきました。

お客様の笑顔が願いであり、原動力

祁佳さんが代表取締役を務める「スマTOMO株式会社」では、iPhone修理や携帯アクセサリー販売などのサービスを展開しています。

日本でスマートフォンを購入する際に、手続きやプランの複雑さに驚いたことが起業のきっかけだったようです。

iPhone修理事業では、高品質な部品、丁寧な作業、心を込めたアフターサービスが好評を得ていて、リピーターも増えているとのこと。

お話を聞いていると「愛用しているスマホをもっと長く使えるようにお手伝いしたい」という祁佳さんの強いこだわりを感じます。

「将来は自身のブランドを立ち上げ、スマートフォンを修理されるお客様にオリジナルの携帯アクセサリーを安価で提供したいです。中古端末販売サービスも行っていきたいですね。お客様がより安く、より早く端末を手に入れることで、お客様の時間と今後のより豊かな生活を大切にするお手伝いがしたいです。」

祁佳さんは続けます。

「気持ちよく笑顔になってくれるお客様の顔を何度でも見たい。それが私の願いであり、原動力です。」

そんな祁佳さんの細やかな心配りや、一緒にいる人を安心させてくれる笑顔は、今回のインタビュー中にも何度も垣間見えました。

自分がつくった仕事からもらえた幸せとは

「会社を退職してから、現在進行形で、様々なことが前に進んでいるように思います。自分の考えていたアイディアを少しずつ形にしていく。たとえすぐに成果があがらなくても、確実に一歩一歩、自分のペースでゆっくり前へ進んでいるということが感じられる。この進みに、意味と価値を感じています。」

「一つ一つの前進が徐々に大きな自信に繋がっていき、毎日成長している実感があり、ワクワクしています。これが、自分がつくった仕事からもらえた幸せです。」

そう力強く話す祁佳さんから、沢山のパワーをもらえたインタビューとなりました。

スマTOMO https://www.sumatomojp.com/