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経験が長いだけではこの先の成長はない。思考を止めたくない。

大手マンションディベロッパーの人事担当、そしてIT関連企業にて人事業務や教育研修業務に携わられた後、人事コンサルタントとして独立された大野洋さん。

人事コンサルタントとして活動する傍ら、お子さんの誕生がきっかけで粘土細工の面白さや奥深さにハマり、2020年には合同会社粘道(Nendou)を設立されました。

現在は、粘土細工を通じてありのままの自分を再開発してもらいたいという思いから、手と脳に関する研究や、子供・社会人・高齢者を対象に粘土を使用したワークショップを企画開催されています。

そんな大野さんにお話を伺いました。

始まりはアメリカンフットボール

大野さんに初めてお会いした時に印象的だったのは、その身体の大きさと、豪快な笑顔でした。

お話を伺うと、高校生から社会人まで25年間に亘り選手・コーチとしてアメリカンフットボールに携わってこられたそうです。

物心がついた時からアメリカンフットボールに憧れ、のめり込むまでに時間はかからなかったと言います。
高校生の時には、アメフト専門誌に掲載されていたクラブチームのメンバー募集記事を見て連絡をとり、当時高校生では珍しくクラブチームに入れてもらうことができたそうです。

「クラブチームのメンバーは大学生や社会人がほとんどなのですが、入りたいという気持ちだけですぐに連絡をしました。興味をもったらとことん向き合う方ですね。」

大野さんから伝わってくる芯の強さ、見た目だけではない力強さの原点が、ここにあるように感じました。

大学入学後もアメフトに打ち込み、4年生の時にはキャプテンとして活躍されたとのこと。大野さんが出場する試合をたまたま見にきていた企業に声を掛けられ、就職に至ったそうです。

順風満帆にも見える大野さんですが、就職先の上司には「アメフトで入社したかもしれないが、アメフトだけでは食べてはいけない」と、仕事とは何か、人事とは何かを1から厳しく教えてもらったと話します。

「厳しくはあったけれど、今後の社会人生活が困らないようにという上司の優しさだと理解していました。数え切れないほど失敗もし、怒られましたが、尊敬できる上司、同僚、後輩に囲まれて、腐ることはありませんでした。出会う人には本当に恵まれましたね。」

そう当時を振り返ります。

経験が長いだけではこの先の成長はない。思考を止めたくない。

企業で約10年人事に携わり、人事コンサルタントとして独立した大野さん。

独立して約10年経とうとしたある日、取引先の方から
「人事部門を立ち上げて今ある課題を解決したい。手伝ってほしい。」
と熱心に声をかけられ、人事の責任者として再び企業で働くことを決意します。

しかし、立ち上げ当初こそ課題はあったものの、企業の課題を自分の課題として考え行動できる社員が多く、会社全体がチームとして機能するまでに多くの時間を要さなかったと言います。ここでも、優秀な仲間に恵まれたと大野さんは振り返ります。

会社は順調に機能している。
優秀な社員も沢山いて安心できる今、課題がなければ僕がこれ以上いる意味はない。

そう考えた大野さんは、再び独立することを決意します。

本来ならば課題のない毎日はとても穏やかで過ごしやすい環境に思えますが、そのような状況に身を置くことに不安を覚えたと大野さんは話します。

「経験が長いだけではこの先の成長はない。汗を流していない状態のまま何年も過ごしてしまえば、この先の50代、60代が見えなくなってしまうのではないか。思考を止めたくない。そんな思いがありました。」

大野さんがゆっくりと語るその言葉は力強く、ハッとさせられました。

子どもがきっかけで気づいた粘土の面白さと奥深さ

再び人事コンサルタントとして独立すると共に立ち上げた、合同会社粘道(Nendou)。
粘土にハマったきっかけは、お子さんとの粘土遊びだったとのこと。

子どもが喜ぶかな、と思い購入した粘土でしたが、当時お子さんは全く興味を示さなかったようです。

「それどころか、僕に何か作るよう指示を出してきたんですよ」

当時を振り返り、大野さんは笑います。

最初はしぶしぶ作っていた大野さんでしたが、作っていくうちに「あれ、楽しいな、上手くできたな」と思う瞬間が増えていったとのこと。
いつの間にか、純粋に楽しんで製作を続けるようになっていたそうです。

足りない部分、不安定な部分に粘土を足していく。
重すぎる部分、重くなくともそぎ落としたらより良くなりそうな部分からは、粘土を引いていく。

粘土で形をつくりあげていく過程に可能性を感じたそうです。
様々な粘土細工の可能性を探求し続け、その特性を活かした取り組みを通して、人の心を豊かで活力あるものにしたいと大野さんは話します。

現在は子ども向けのワークショップだけでなく、シニアや社会人向けにもワークショップを精力的に企画開催されています。

今までもこれからも全てが繋がっている

辞書を引くと、「粘」という字には
"諦めずに持続し、持ちこたえ、耐え忍ぶこと。根気。"
そのような意味が含まれているようです。

粘土で形をつくりあげていく過程には、アメフトにおいてのチームワークや、一人一人と丁寧に向き合いながら全体を構成していく人事の仕事と、共通するものがあるのかもしれません。

アメフト、人事、粘土。

一見バラバラなように見えて、どれも一つで繋がっている。
そんなことを、インタビューを通じて感じました。

今後、地域での活動も積極的に行っていきたいと話す大野さんがTristに入居した理由は、地域に根差しているシェアオフィスと感じていただけたからとのこと。

来月にはTristにて、新サービスとして検討中のワークショップを入居者を対象に開催してくださいます。

「様々な職種の方々からの厳しいフィードバックを期待しています」

そう豪快に笑いながら話す大野さんのワークショップを、ぜひまた皆さんに紹介したいと思います。

合同会社粘道(Nendou)https://nendou.jp/