Trist

オンライン寺子屋の発信場所としてのシェアオフィス。学校と地域のシェアオフィスが交わる時。

2020年5月。

新型コロナウイルスの影響による終わりが見えない休校の中、学習がままならない子どもたちを支えたいという思いから無料で個別授業を行う「オンライン寺子屋」を立ち上げた先生がいます。

その熱意はSNSで広がり、同じ思いをもった先生たち、そして受講を希望する生徒たちが全国から続々と集まり「オンライン寺子屋」がスタートを切りました。

この「オンライン寺子屋」の夏期講習の発信場所として、お盆期間にTristを使用された中村柾(まさき)先生にお話を伺いました。

オンライン寺子屋とは

「オンライン寺子屋を立ち上げたきっかけは、2020年5月11日に配信された文部科学省の『学校の情報環境整備に関する説明会』を聞いたことでした」

中村先生は続けます。

「説明会の中で高谷浩樹課長が話された
『やろうとしないということが一番子どもに対して罪だと、私は思います。』『本当にできること、使えるものは何でも使って、できることから、できる人から、既存のルールに捉われず、臨機応変に何でも取り組んでおられますか?』
というパワフルなメッセージに衝撃を受けました。次の瞬間には、自分たちにできることを今すぐ始めようと決意し、オンライン寺子屋を開設しました」

何と、説明会を聞いた翌日の5月12日から14日のわずか3日間の間にオンライン寺子屋を開設したとのこと。

中村先生が勤める学校でも、休校、そして先生の在宅勤務が始まり、週に20回程度あった授業が0回になったようです。

先生方が様々な形で生徒の学びを保証しようと努力していることを現場にいるからこそ理解していつつも、オンライン授業がなかなか進まない現状にもどかしさや焦りを感じていたと中村先生は話します。

「授業が0回になったのに今までと変わらぬ給料を自分がもらっていること、その一方で、親御さんが働きながら子どもたちの勉強も見なくてはいけないという状況に、アンバランスさ、違和感を抱えていました」

その状況で、誰が一番動きやすく、何をすることができるのか。

コロナが加速してきた3月頃からそのように自問し、自分の学校の卒業生である高校生に担当科目である英語を教えていた中村先生は、ついにオンライン寺子屋として活動を全国に広げることを決意します。

スタートしたオンライン寺子屋

オンライン寺子屋では、予習をやりたい人、復習をやりたい人など、毎回受講生と相談をして授業内容を決定し、一人ひとりにカスタマイズした内容で、完全無料にてマンツーマンサポートを行っているとのこと。

また、タブレットやPCが手元にない受講生が、スマホのみでも十分にサポートを受けられるよう使用するツールを厳選することにこだわったのは、子どもたちの環境を間近で見てきたからこそ。

さらに、授業を担当する先生は、勤務先の学校が休校中の先生や塾の先生、そして先生の卵である大学生たちが、すべてボランティアでされているという話に驚きを隠せませんでした。

「最初にオンライン寺子屋を始めますと発信した時は、5人くらいが来てくれたら嬉しいな、と思っていましたが、瞬く間に100人ほどが集まってくれました。自分が抱えていた違和感や想いにはニーズがあったのだと分かり、とても嬉しかったです。世の中の埋められていないニーズにアプローチできたらとずっと思っていました」

中村先生は続けます。

「それでも、今までアプローチしてきたことの9割は失敗してきました。めげずにやってきたことで今があるんだと思います」

先生が他の業種の人と出会うということは、学校や子どもの世界を広げることにつながる

Tristを利用したのは、オンライン寺子屋における夏期講習中の発信場所としてとのこと。

オンライン環境が整っていて、周りが静かで、かつ自身が話すことができる、そんな場所を求めてTristにいらしてくれた中村先生。

クリエイティブかつアットホームな雰囲気が気に入ったと言います。

「シェアオフィスを利用して良かったことは、他の職種の方がいるということです。やはり、学校はどこか閉じられたイメージをもたれやすいですし、僕自身実際にそのように感じる瞬間もあります。学校を開けた場所にしていきましょうといっても、やはり現状はなかなかできていないところもあります」

中村先生は続けます。

「先生が他の職種の方と出会い、同じ空間で働いてみたり話したりすることで、学校以外の知識、体験を子どもや学校の中に活かすことができると思いました。締め切りがあるということ、時間を守るということ、同じことを伝えるにしても、自分以外の視点から子どもたちに伝えることができるな、と。先生としての視野も広がりますしし、できることも広がるように思います。先生だけじゃなく、受講生にもこの場を体験してほしいなと思いました」

どんどん先生が外に出ていき、どんどん地域が学校に入ってくる。

すると、先生の世界が広がって、地域のことをもっと分かるようになり、地域の方も学校のことをより分かるようになる。子どもたちは、学校と地域の中で、様々な価値観を育みながら成長していく。

まさに、このお盆期間中のTristはそのような世界を体現していました。

中村先生がTristで授業をされている間、同じスペースで夏休みの宿題に取り組む子どもや、授業をする中村先生の様子を見ている子ども、そして別の部屋ではオンラインで繋がって近況を報告しあう子ども。

また、別のデスクではデザイナーが作業をし、休憩中に中村先生と地域について何気ない会話をするなど。

決して手が届かない夢ではないのだろうと思いました。

「すべての子どもに、多様な選択肢を」

コロナをターニングポイントにしたいという中村先生は、勤務先の学校のICT主任もされています。

コロナがあったから学校でテクノロジーが使用されるようになったのではなく、その方がより分かりやすく効率的だから使うようになったんだ、と言えるようにしたい、と中村先生は言います。

「テクノロジーは手段です。使うことが目的じゃなくて、使った方が良い学びを受けられるから使う。そして、テクノロジーと同じように対面にも、対面ではできないこと、対面でしかできないことがあります。アフターコロナでは、オンラインとオフラインのバランスを取りながら、ハイブリッド型の授業をしていきたいです」

コロナで様々なことがフラットになった今、

誰が正しいか、これでいいのか、誰も分からない。

分からないからと言って、立ち止まったり様子を見ている場合ではない。

若いから、ベテランだから、そういうストッパーを外して、良いと思ったものは進めていきたい。

中村先生と最初にご挨拶した時に私の背筋がピンと伸びたのは、中村先生の目に強い意志を感じたからでした。

インタビューの最初から最後まで、迷いなく、そして濁すことなく自分の考えを話していく中村先生に、変わりつつある学校の今と未来を見ました。

「すべての子どもに、多様な選択肢を」

同じ思いをもつTristとしても、地域、学校、子ども、先生のゆるやかな繋がりを一緒に模索していきます。

オンライン寺子屋
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